焼却炉とダイオキシン

焼却炉とダイオキシン

なぜ焼却炉からダイオキシンが発生するのでしょう。

ゴミを燃やすと難分解性で有毒な環境汚染物質である「ダイオキシン」が 発生することはよく知られています。 このダイオキシンは、ジベンゾパラジオキシン、ジベンゾフラン、 ビフェニルという3つの化合物に塩素が結合した化合物群の総称で、 塩素の数や結合する位置によって数多くの化合物が存在します。 単一の化合物ではないことからダイオキシン類と表される場合もあります。 ダイオキシン類は化合物により毒性が異なるため、最も毒性の強い化合物の 毒性にそれぞれ換算して合計した毒性等量(TEQ)で環境基準や排出基準と 比較されます。 廃棄物焼却炉はゴミを完全燃焼させるため、800℃以上で焼却することが 義務づけられています。 この高温で焼却を行えばダイオキシン類でも分解するからです。

しかし高温で焼却しても発生したガスが冷却する過程においてダイオキシン類が 生成されてしまうこともあり、この生成反応はデノボ合成と呼ばれています。 デノボ合成は燃焼温度よりも低い300~500℃程度で進行しますが、 200℃以下ではほとんど進行しないと考えられています。 つまり800℃以上の高温で完全燃焼しても、燃焼ガスがゆっくり冷えていくと デノボ合成が進行してダイオキシン類が生成されてしまいますので、 速やかに燃焼ガスを200℃以下に冷却することが重要となります。 焼却炉から排出される焼却ガスは気体成分と固体成分の煤塵で構成されていて、 ダイオキシン類はその両方に存在しています。 ダイオキシン類の排出を抑制するために、1時間あたり30kg以上焼却する 焼却炉には煤煙処理設備を設置することが義務づけられています。