焼却炉とダイオキシン

ダイオキシンとは

ダイオキシンは正式にはダイオキシン類と言います。

一般的に言われるダイオキシンとは単一の物質ではなく、 ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、 コプラナーポリ塩化ビフェニル(co-PCB)という物質の総称で、塩素の数や その位置が異なる異性体が数多く存在し、それぞれ毒性が異なります。 ダイオキシン類は廃棄物の焼却、塩素によるパルプの漂白、農薬などの化学物質 を製造する際の副生成物として生成されることが知られています。 ダイオキシン類はゴミの焼却により大気中へ、製紙工場や化学工場の排水により 水域へ、農薬散布等により土壌へ放出されてきたことになります。 しかし現在ではダイオキシン類対策特別措置法などによって、 ダイオキシン類の排出は厳しく規制されています。 また今ではパルプの漂白は塩素をほとんど使用しない方法を採用しているため、 ダイオキシン類の発生は抑えられています。 ダイオキシン類はペンタクロロフェノール、クロルニトロフェンなど、 過去に使用されていた農薬にも含まれていましたが、現在では製造、使用が禁止 されています。 このように発生源となる部分には規制が入り、放出される量は減っています。 現在ではダイオキシン類の排出源は、焼却や燃焼による割合が 高くなっているでしょう。 しかしダイオキシン類は自然環境中ではほとんど分解を受けない難分解性の物質 であるため、これまでに放出された分は土壌や水環境中に長期間残留 することになります。 また脂溶性であるため、食物連鎖を通して高次消費者の体内に濃縮されます。 毒性を持つダイオキシン類を使った動物実験では、発がん性、生殖毒性、 免疫毒性、神経毒性などが報告されています。